第26回日本環境会議水島大会
 
 「環境再生と健康なまちづくり」をテーマに、第26回日本環境会議水島大会が9月20〜22日まで、倉敷芸術科学大学で開催されました。日本環境会議(JEC)に所属する研究者や、各地で環境問題に取り組む市民団体ら、延べ約500人が参加しました。(写真で見る水島大会はこちら




 水島での大会開催は今回が初めてです。現地実行委員長の森瀧健一郎氏は、「水島が大会の場に選ばれたことは、環境対策が評価されたことと同時に、当地がすさまじい公害を経験してきた地域であることを意味しています。公害被害の行き着くところは、生身の人間の健康被害であり、時には生命を奪うこともある。健康被害からの脱却を目指し、大会のテーマを『環境再生と健康な街づくり』としました」と開会の挨拶で述べました。



写真:森瀧健一郎現地実行委員長



 「環境再生」については、淡路剛久JEC理事長が基調講演で、「環境再生の原点は公害被害者の救済が原点」と述べました。20世紀型の工業が維持されている川崎、四日市、水島のような都市で環境再生を実践することについて、「産業構造の転換から自然環境までを視野に入れなければならないため困難をともなうが、健康な街づくりへの転換が成功すれば、アジアの工業都市にとってモデルになる」とし、この背景には、先進国がアジア諸国に汚染を押し付けている構図と同じように、日本国内においては、水島や四日市に負担が強いられていると説明しました。


写真:淡路剛久JEC理事長



 大会では、水島からの報告だけでなく、「大気汚染の改善と被害者救済をめざして」、「臨海部の地域環境再生−海と地域づくり−」、「公害経験と環境再生−そのアジアへの発信」の3つの分科会が開催され、最終日には、「環境再生と健康なまちづくりをめざす水島宣言」が採択されました。

 ※ 水島宣言の全文はこちら(PDF版)からダウンロードできます。




環境再生と健康なまちづくりをめざす水島宣言(一部抜粋)

 日本環境会議は、昨年(2007年)7月の第25回四日市大会、今回の水島大会、そして来年(2009年)11月に予定されている第27回尼崎大会を通じて、大気汚染による公害被害者の健康回復と公害被害の再発防止のための取り組みを進め、臨海工業地域の環境再生・地域再生のまちづくりについて検討している。この中間点ともいえる今回の水島大会の成功を踏まえ、私たちは、人々が健康に暮らせる地域を目指して、以下のことを提言する。

  1. 公害による被害や損失を明らかにし、それらを公害の未然予防や公害被害者の救済に生かしていくこと。
  2. 医療・福祉の充実、環境保全型の産業構造への転換、地域住民の生活優先のまちづくりを通じて、水島地域の再生をはかること。
  3. 瀬戸内の自然を保全し、鞆の浦にみるような安易な埋め立てによる自然と文化の破壊行為をストップさせ、景観の保全や漁業の再生など臨海部地域の豊かな環境の再生をすすめていくこと。
  4. アジアの諸国・地域に向けて水島地域をはじめとする日本の経験と教訓に関する情報発信を進め、海外の人々との連携を深めていくこと。
  5. これらを通じて、足元から地球温暖化防止への取り組みにも寄与すること。

 以上の提言をもとに、私たちは、水島の臨海工業地域の環境再生と健康なまちづくりへの取り組みをさらに発展させていくために、その担い手を育て増やしていくとともに、住民・行政・企業の協働の輪を広げていくことを、ここに宣言する。



2008年9月21日
第26回日本環境会議水島大会参加者一同

水島大会プログラムはこちらで確認できます。

水島大会の詳しい報告は、2009年1月下旬に発行予定の『環境と公害』38巻3号をご覧ください。
(最新号『環境と公害』の目次はこちらで確認できます。)

【取材(文と写真):奥田みのり】



 
JEC 日本環境会議