日経アジア賞 中国政法大学公害被害者法律援助センターが受賞
 アジアの安定・発展に貢献した人々や団体に贈られる「日経アジア賞」表彰式が5月21日、グランドプリンス赤坂(東京・千代田区)で行われ、経済発展部門では、公害被害者に法的援助を行う環境NGO、中国政法大学公害被害者法律援助センター(CLAPV)が受賞しました。日本環境会議(JEC)と交流の深い、CLAPV代表の王燦発政法大学教授が来日し、表彰式に参加しました。会場には、JEC事務局長の寺西俊一一橋大学教授をはじめ、多くのJECメンバーが祝福にかけつけました。
 受賞スピーチで王教授は、中国には環境保護を基本政策にした法制度があるが、不十分な法律の順守と執行が原因で、環境汚染は悪化していると指摘しました。こうした状況に対してCLAPVは、被害者の訴訟を支援し、行政機関に適切な法を執行するよう圧力をかけてきたと述べました。賞金300万円については、四川大地震の被災者救済に全額寄付するそうです。
写真:中国政法大学公害被害者法律援助センター代表の王燦発政法大学教授
 王教授は、2000年3月に、「日本環境会議発足20周年記念シンポジウム」(於・東京)、「第19回日本環境会議川崎大会」(於・川崎)に参加するため、JECの招聘で来日しました。これを機に、2001年9月には、「第1回環境被害救済&環境紛争処理に関する日中国際ワークショップ」の共同開催が北京で実現しました。以来、王教授およびCLAPVとJECは、継続的な交流を続けています。
写真:王教授を囲むJECメンバーら
 日経アジア賞審査委員長の豊田章一郎氏(日本経団連名誉会長)は、CLAPVの受賞理由について、以下のように述べています。

 創立者で代表の王燦発中国政法大学教授は中国環境法のパイオニアといわれており、彼を中心に大学院生や弁護士志望者が毎日交代で年間数百件もの相談に当たっている。こうした活動に携わるボランティアの土壌が中国で育ちつつあることは非常に意義深い。黄砂や海水汚染など中国の公害問題は日本を含む近隣諸国と無縁でない。国際的責任を果たそうという姿勢は素晴らしく、今後の期待も含めて受賞対象とした。(日本経済新聞 2008年5月14日)

 日経アジア賞は、1996年に日本経済新聞の創刊120年を記念して創設された表彰制度で、今回で13回目。科学技術部門では、インドのジャワハルラル・ネルー先端科学研究所名誉所長のC・N・R・ラオ氏が、文化部門では、韓国の映画俳優の安聖基氏が受賞しました。
 受賞対象者は、日本人を除く東・東南・南西アジア、太平洋地域を拠点に活動する個人や団体で、有識者による推薦者を、部門別の審査委員会が検討して決めています。
 過去の受賞者は以下のホームページに掲載されています。

 第13回 日経アジア賞 http://www.nikkei.co.jp/hensei/asia2008/asia/
写真:C・N・R・ラオ氏(左)、王教授(中央)、安聖基氏(右)
 なお、同日、国際比較環境法センター主催で行われた特別研究会で王教授は、「中国における環境紛争の裁判上、裁判外の処理と最近の立法動向」について講演しました。日本のように弁護団をつくることは可能かという参加者からの質問については、「原告一人に対して2人まで弁護士をつけることができるので、5人の集団訴訟ならば10人の弁護士をつけることは可能だ。しかし、経済的に難しく実現しない」と回答。活発な情報交換が行われました。
写真:国際比較環境法センターで講演する王教授
 
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