第24回東日本多重災害復興再生政策検討委員会全体会合
 2015年7月17日(金)15:00-17:30 株式会社農林中金総合研究所大会議室にて
 第24回の全体会合では、早尻正宏氏(山形大学准教授)より、森林汚染対策の現状と林業・山村復興に向けての課題についての報告が行なわれた。その後、早尻氏とフロアとの間で質疑応答・意見交換がなされた。最後に、今後のJEC検討委員会の取り組み方針とスケジュール案について確認が行なわれた。
(文・写真:石倉研)
早尻正宏氏(山形大学准教授)
「森林放射性物質汚染対策と森林・山村復興の諸課題」
 現在、森林や林業、木材産業、山村といった「林」の中で、森林の汚染、営林の停滞、循環の破壊、文化の破壊、担い手の危機が生じている。このような状況の中、「林」の復興に向けての問題点として、森林除染が責任論を欠く事業スキームとなっていること、森林賠償終了後に放棄林化が進む可能性があること、生活再建なき避難解除は過疎の加速化をもたらしかねないことが挙げられる。
 復興の担い手である森林組合は、原発事故以降、フローの損害に対しては損害賠償請求を実施し、ストックの損害に対しては森林賠償を求める拠り所としての役割を果たし、社会関係資本の損害に対しては組合員の再組織化を行なってきた。今後、地域の雇用を創出し、コミュニティの再生を目指していくうえでも、森林組合に対する期待は大きい。また、国や県、市町村が、環境回復、生業再建に向けて息の長い取り組みを行なっていくことが復興への道筋として必要であり、そのためにも自己充足や仕事の社会的意味も含めた政策的枠組みが求められている。
森林の放射能汚染について報告される
早尻氏

総合討論
 
 早尻氏の報告を受け、フロアとの間で質疑応答・総合討論が行なわれた。森林汚染に伴う林業や関連産業への影響、汚染木材のバイオマス発電としての活用可能性、今後の森林除染の方法など、森林汚染と復興に関する論点について、活発な討論が行なわれた。中でも、森林賠償をめぐっては、福島以外の地域における賠償の問題や賠償基準に関して、依然として多くの課題が残されていることが指摘された。
 全体討論の後、今後のJEC検討委員会の取り組み方針やスケジュール案についての確認が行なわれ、第24回の全体会合は閉会となった。

 
JEC 日本環境会議