第21回東日本多重災害復興再生政策検討委員会全体会合
 2015年2月20日(金)14:00-17:30 株式会社農林中金総合研究所大会議室にて
 第21回の全体会合では、吉田邦彦氏(北海道大学教授)より、居住福祉法学の観点からみた災害復興法の問題点と今後の課題について、報告がなされた。 吉田氏の報告を受け、日野行介氏(毎日新聞)のコメント、およびフロアとの間で質疑応答・意見交換が行われた。
 次に、「日本環境会議第2次意見書」の公表に関する議論や今後のスケジュール調整がなされた。
(文・写真:吉村武洋)
報告:吉田邦彦氏(北海道大学教授)
「居住福祉法学から見た災害復興法の諸問題と今後の課題」
 吉田氏からは、はじめに東日本大震災からの災害復興の停滞の状況について確認がなされた後、 公共事業が中心となり、居住福祉型予算の拡大となっていないことが指摘された。「居住福祉型」とは、 災害で多くの私財を失った被災者の支援をはかるものであり、被災者の最終的家屋のための支援や生業の支援などが課題となる。
 日本の居住法学の特徴として、こと「住まい」に関しては市場主義的システムが採られており、 持たざる者への弱者配慮が弱いことが挙げられる。これは、住宅を「私的所有権」と性質決定する、民法の立場と繋がる。 福島型災害と岩手・宮城型災害の救済格差について問題視しないことなど、「民法の常識」ということなのか、疑問が残る。 これを疑ってかかり、居住福祉は、公共的問題として、場合により公共的支援を重視するのが、「居住福祉法学」の立場である。
 居住権は、アイデンティティ、人格形成、市民社会の人間的価値形成に関わる、基本的人権の一部である。 それゆえに、居住所有権は、居住賃借権も含めて、公共的色彩を有し、その帰結として、@災害時等の緊急事態においては、 その公共的保護、補償をはかることが義務付けられる。 また、Aそれは市場メカニズムにそのまま委ねてよいものでもない。このような「批判的な居住所有の再構成」がない限りは、 単なる住宅法で、居住福祉法学になっておらず、この点の展開は《災害復興法の意味ある発展のための急務》である。
 さらに報告では、米国における居住福祉支援の状況や発展途上国における災害復興について紹介され、 最後に今後の検討課題について指摘された。
居住福祉法学の観点から
災害復興のあり方について報告する吉田氏

全体討論と今後の取り組みについて
 
 吉田氏の報告に続き、日野行介氏(毎日新聞)よりこれまでの取材内容を踏まえた、福島の被災者をめぐる実態についてコメントがなされた。 その後の全体討論では、私有財産に対する財政投入をどのように考えていくか、報告の中で紹介された米国の公的連邦水害保険プログラムの内容やその背景にある考え方など、 多岐にわたる論点について議論がなされた。
 全体討論に続き、寺西委員長より「日本環境会議第2次意見書」の公表について説明があり、各部会より意見書案の内容について、ポイントが提示された。 その後、内容について討議や公表方法、スケジュールの調整等がなされ、第21回の全体会合は閉会となった。

 
JEC 日本環境会議