第19回東日本多重災害復興再生政策検討委員会全体会合
 2014年7月18日(金)15:00-17:30 株式会社農林中金総合研究所会議室にて
 第19回の全体会合では、井出茂氏(川内村商工会長・川内むらづくり協議会会長)より、福島県双葉郡川内村における復興と再生に向けた現地の取り組みについての報告がなされた。井出氏の報告を受け、フロアとの間で質疑応答・意見交換がなされた。
 最後に、JEC検討委員会や関係研究会等の今後のスケジュールについて確認がなされた。
(文・写真:吉村武洋)
報告:井出茂氏(川内村商工会長・川内むらづくり協議会会長)
「原発被災地域の復興と再生をめざして――川内村における取り組みと今後の課題」
  豊かな森林資源に恵まれた川内村であったが、その歴史を見ると、地租改正の際には、誤って国有林に編入され、里山に依存した自給自足の生活は危機にさらされた。しかし、 村民の山林引戻し運動によって、最終的には全面勝訴したという全国でも稀なケースとなっており、このことは今日にもつながっている。
 その後エネルギー革命等を経て、林業をはじめ村の産業は衰退し、他の中山間地域同様に過疎に悩まされていた。これに対し、グリーンツーリズム研究会や、元気な川内を創る会、農楽塾の活動など、里山に根差した取り組みが、震災直前まで進められてきた。
 ところが原発事故によって、里山に依存したライフスタイルは奪われてしまった。行政は復興に向けた様々な取り組みを展開しているが、課題も多い。他方で、秋元美誉氏の奮闘もあり、交流人口は増えていっている。復興にはまだまだ時間はかかるが、のんびりしているわけにはいかない。村の現状についてしっかりアナウンスし、関心人口を増やしていくことが大切だと考える。「川内むらづくり大学」も一つの仕掛けとして、考えていきたい。
川内村の復興に向けた取り組みについて
報告する井出氏

全体討論
 
 井出氏の報告を受け、フロアとの間で質疑応答・総合討論が行なわれた。 世帯分離が進んでいる中で、彼らをどのように支援していくのか、村の地域経済のビジョンをどのように考えていくのか、リスクコミュニケーションのあり方をどのように考えるかなど様々な点について、井出氏と参加者との間で討論がなされた。特に地域再生に関わる数多くの論点が出され、検討委として今後も議論していく必要性が確認された。
 全体討論後、寺西委員長から、今後のスケジュール案についての確認が行なわれ、第19回の全体会合は閉会となった。

 
JEC 日本環境会議